5月1日
はい、あーん? ジャガとピヨ
お仕置き ジャガピヨ
5月2日
一時休戦 ジャガとピヨ
強い人 ジャガピヨ
5月3日
泣いちゃうかもね ジャガとピヨ
キミ専用口説き文句 ジャガピヨ
素麺を解禁してしまうかどうかが直近の問題である。
スーパーからガリ寮までの道をだらだらと歩く。初夏を通り越してオゾン層を通り越して、日差しがピヨ彦の額に突き刺さってくる。夏だろう。バカじゃないの。冗談抜きで、八月は五十度位いくんじゃないのか。去年だって台所の前の板の間で寝て身体が痛くなった。
別に素麺で文句を言う人だっていないのだ。五月から食べていいのかという気持ちの問題があるだけで、ひとりで食べるんだから栄養バランスだってどうでもいい。
もう引っ越してしまってもいいのかもしれない。扇風機だけでは温暖化に立ち向かえない。そんなことを毎年思いながら、もう何年住んでいるかも思い出せないガリ寮に固執しているのは何故だろうか。
あの人いつ帰ってくるんだろうな。
別になにも寂しいことはないけれど。平穏な生活ってのがやっぱりいいんだけど。図ったように尻ポケットのスマホが鳴る。耳にあてて、もしもし、と応えると「うーーーーい」と声がした。うーい、じゃないんだよ。
「今大丈夫か?」
「うん、どうしたの」
「なんか声が聞きたくなっちゃって」
別に嬉しくなんかはない。ああそう、とだけ返事をしておく。
「今どこにいるんだっけ? マレーシア? シンガポール?」
「あー、ちょっと近々帰ろうかと思って」
ふーん。
「嬉しいだろう」
「別に」
「オレには見えるよ、買い物袋ユサユサしてんだろ」
「五千キロ先が見えるんだ、すごいね」
「うん、オレ眼いいから」
ゆらゆらする買い物袋を落ち着かせる。
「いつ帰ってくんの?」
「オレが帰ってきたらどんくらい嬉しい?」
話を聞かない上に面倒くさい人だなあ。これでまた「別に」とか答えたらねちねち絡んでくるのだから、正直に答えるしかない。汗がじわりと滲んで耳とスマホが少しずれる。
「しばらく抱きついて離さないくらい嬉しいよ」
「泣く?」
「泣きはしない」
「泣くだろ」
「はいはい、泣いちゃうかも。そのくらい好きだよ」
ああ、暑さで頭がおかしくなったのかなあ。冷却シートでも貼った方がいい。夏になったらもっとベタベタしてしまうのだろうか。少し時間を置いて、ジャガーさんが「ふーん」と言った。さっき買い物袋の揺れがバレたように、僕にもジャガーさんの口の端の角度がわかる。
「でさあ、ピヨ彦にお願いがあるんだけど」
「なに、なんか食べたい物あるの? 送るけど」
「うん、いや、」
ざっ、ざっ、と後ろから地面と靴の擦れる音がする。
「風呂沸かしてくんないかな?」
5月4日
ただの友達は、こんなこと、しない ジャガとピヨ
朝四時、ランデブー ジャガピヨ
5月5日
しんでるにんげんなんか、こわくないさ ジャガとピヨ
雨も、悪くない ジャガピヨ
5月6日
逃げるなよ、追いかけたくなるだろ ジャガとピヨ
甘えることを教えたのは、貴方だから ジャガピヨ
5月7日
大人になりたくない ジャガとピヨ
地獄へ道連れ ジャガピヨ
5月8日
はい、あーん? ジャガとピヨ
幼馴染、やめたいんだけど ジャガピヨ ※幼馴染パロ
5月9日
地獄へ道連れ ジャガとピヨ
正義の味方 ジャガピヨ
5月10日
今は、譲ってあげるよ ジャガとピヨ
無防備すぎるのが悪い! ジャガピヨ