2023年5月21日~31日

 

5月21日

よくいったものだ、 ジャガとピヨ

結局は、君に辿り着く。 ジャガピヨ

5月22日

でも、明日怒られそう。 ジャガとピヨ

お静かに ジャガピヨ

5月23日

嘘でもいえない ジャガとピヨ

Be mine forever. ジャガピヨ

5月24日

神様に恋をした ジャガとピヨ
眠ってしまおうよ。 ジャガピヨ

ふと目が覚めた。部屋は暗くて、きっと夜中だった。薄ぼんやりと光を孕んでいるベランダの方に人影が立っていた。上体を起こして眺めていると、その影は振り返って「どうした」と喋った。
「どうしたじゃないよ」
「眠れないのか」
「そっちだよ」
布団を抜け出す。身体が重い。蛹を脱ぐ、湿気った翅を持つ虫はこんな感じなんだろうか。足が熱い。触れた畳がひた、と音を出す。
「何してんの」
「いや、なんか流れ星でも見たら寝れるかなと思って」
ジャガーさんの向こうに見える街並みには街灯がぽつぽつと光っている。もっと山奥の方とかに行かないと見えないんじゃないかなあ。
「流れ星見たら寝れるの」
「寝れますようにってお願いするから」
「変なの」
肘で小突くとひんやりしている。ジャガーさんの手を取ると、窓ガラスをずっと触っていたらしく随分冷えていた。そのまま布団へ引っ張って連れて行く。僕が抜け出た布団の中にジャガーさんを押し込む。隣の布団を見ると、敷いた時のまま、掛け布団の四隅がピンとしていた。
眠ろうとしないのに寝れますようになんて変な話だ。
掛け布団を捲って、主人を待ち続けていた布団に潜る。熱い足がひやりとする。気持ちよかった。
「ぬくい」
「そう、よかったね。おやすみ」
「ピヨ彦」
意識をなんとかジャガーさんに向ける。瞼が重い。
「なあに」
「神様っていると思うか?」
途方もない話が始まりそうだ。急にスピリチュアルなことを言い出す。
「いるんじゃないの」
「どうしてそう思う」
「神社とかあるから」
ふふっ、と吹き出して笑う。何がおかしいんだ。
「お前それ、卵が先か鶏が先かみたいな」
「いいんだよどっちも美味しいよ」
「なんか腹減ってきた」
眠気の淵から落ちないように、枕の端をじりじり掴む。
「てか、なんで急にそんなスピリチュアルな話するの」
「願いごとの話したから、ちょっと思った」
「そう」
「なあ、欲しい時に欲しいものをくれるとさ、そいつ神様かもって思うだろ」
「たとえば何を」
「ぬるい布団とか……」
「違うよ」
「じゃあそいつ何なんだ」
「……恋人だろ……」
自分で言ってなんだか妙に恥ずかしくなる。なんなんだ、もう、ばかじゃないの。
「ピヨ彦」
「なに、もう、寝るよ、寝る」
横に投げ出した手に、ジャガーさんの手が重なる。幾分か温まったらしい。
「もう一回言って、そしたら寝れるから」
「おやすみ」

 

5月25日

君を季節に例えるなら ジャガとピヨ

美味しそうに見えた、なんて末期だ ジャガピヨ

5月26日

ずるいずるい、可愛い ジャガとピヨ

さかなだって、こいをする ジャガピヨ

5月27日

恋人だった ジャガとピヨ

もう顔も思い出せない ジャガピヨ

5月28日

覚えてもいないくせに ジャガとピヨ

いっそ泣いてくれたほうがましだった ジャガピヨ

5月29日

運命を感じろ! ジャガとピヨ

裏切り、ごめん ジャガピヨ

5月30日

別れてください ジャガとピヨ

泣けない子 ジャガピヨ

5月31日

「新手の誘い文句ですか?」 ジャガとピヨ

お味はいかが? ジャガピヨ