ちいさいひよこをつかまえろ【R-18】

ふっと目が開く。少し薄暗い部屋にカーテンから光が筋になって差していて、もう朝になったのだと気づくことができた。温い布団の中でもぞりと身体をうねらせたところで、ジャガーは腕の中に愛しい塊がいないことに気が付いた。
今日は朝からバイトの日だっただろうか。聞いていないが、どこかへ出かけてしまったのだろうか。だんだん意識のはっきりしてきた頭が、違和感を見つけ始めた。
昨日の晩からピヨ彦が着ていたスウェットが腕の中に残されている。こんな変な脱ぎ方をしているのは記憶にない。そもそもこんな抜け出すような脱ぎ方をしていたらジャガーだって起きるはずだ。
スウェットを手繰っていくとジャガーの腹のあたりに頭の丸みを見つけることができた。なんて寝相なんだろう。さりさりと擦るといつもの調子で、ううん、と鳴いた。しかし何かがおかしい。鼻から抜ける声がいつもより高い気がする。撫で慣れた頭が、耳が、ほんの少し小さい気がする。指の間を通る髪の毛が柔らかい気がする。
「……ピヨ彦?」
「んん、ん、……ん~~~……」
布団をめくって呼びかけると、いつものように腰に腕が回ってくる。まるで少年のような細い腕が抱きしめてくる。力もいつもより物足りない。ぐっと込めた力が緩むと、いつもより高い声が返事をした。
「おはよ、ジャガーさん」

「はあ~、どうしようかなあ……」
「バイトは?」
「明日ある」
「んじゃ明日までに元に戻んなかったらさ、とりあえず風邪ひいて声が出ないってことにして、オレが電話かけてやるよ」
助かる~、とピヨ彦がのんびりとした口調で言う。姿かたち以外はいつもと変わりない。
小学校半ばくらいの身長、普段より少し丸みを帯びた頬、細い手足をスウェットに通している。とりあえずパンツは普段のものを身に着けているが、ズボンは穿けなかった。パンツもぶかぶかなので歩くのに用心しなくてはいけない。
当のピヨ彦は起きてすぐに自分の身体の異変に気付いたが、まず「ジャガーさんがやったんでしょう」と疑った。もちろんジャガーにそんな力があるはずもなく、変な薬を飲んだわけでもない。夢かな、と二人は思ったが、万が一夢じゃなかった場合を考えて動くことにした。
バイトのことは先の通り。ふえ科は行っても行かなくても同じなので行かない。大ごとにしたくはないので屋根裏に通じる天井板はガムテープで塞ぎ、台所の窓も段ボールで目隠しをした。
「困るなあ、これじゃギター弾くのも大変だし」
食パンの端を齧りながら、目を伏せてピヨ彦が言う。パンが、ジャガーの持つものよりも一回り大きく見える。パンを貸してくれと言うと、怪訝そうな顔をしながらピヨ彦がパンを渡してくる。歯型が小さい。ジャガーはパンを返すと、突然立ち上がって歩き回り始めた。
「違う。オレは違う」
「なに、どうしたの」
「違うよな、そうだよな、うん」
もう一度同じ場所に座って、朝食を再開させる。パンを無理やり口に詰め込んで咀嚼しながら、小さいピヨ彦を横目で見る。パンが入って膨らんだ頬、その曲線から繋がる細い首、今よりずっと華奢な肩、さっき布団の中で抱きついてきた細い腕。全てが目に毒だったが、特に強力な毒はスウェットの裾から伸びる脚で、話を聞く限り大して友達もいなかっただろうインドアもやしっ子らしく白く輝いている。今だって決して体毛が濃い方では無いが、より触れてはいけない未熟さを感じさせる。
「ジャガーさん、どうしたの」
ピヨ彦から声を掛けられるまで、ジャガーは自分が床に這いつくばっていることに気づかなかった。飛び起きて逃げ出す。部屋の隅、壁の角に頭を擦らせながら呻き声を上げた。
「違う、違うんだ、オレは、違う、ピヨ彦だから、ピヨ彦だからこんなことに」
「ねえ~、どうしたの」
「近寄らないでくれ、頼む、頼むから」
しゃがんだジャガーの背中に小さな手が触れる。
「……触ればいいじゃん」
「…………ダメだろ、こんな、こんな小さいピヨ彦に」
「ていうかさあ、」
ひた、とジャガーの背中にピヨ彦が身体を這わせる。
「昨日、準備してたのに、ジャガーさん……してくんなかった」
振り向くと、幼い顔をしたピヨ彦がじっとこちらを見下ろしている。不満そうなのか、期待しているのか、細められた目がジャガーの頬を流れる汗を見つめていた。

覆い被さると、ピヨ彦の身体はジャガーの身体にすっぽりと隠れた。深く口付けるとピヨ彦の口の中はジャガーの舌でいっぱいになる。苦しそうに息をしながらも、ジャガーの背中に腕を回した。
ローションでぬるつく指がピヨ彦の後孔を押し広げる。力を込めると指は飲み込まれていくが、どうしても大人の身体より狭いそこはピヨ彦に普段よりも強い圧迫感をもたらした。
「あぁっ、はあ……あ”……ッ」
「……やっぱ、ちょっと、無理じゃないか、ちんこ挿れるの」
「は、、んっ……だい、じょうぶ、だから、……もっと、して」
懸命に力を抜こうとするピヨ彦のおかげで、ゆっくりではあるが指を抜き差しできるようになった。ローションを足しながら、ゆっくりとストロークを長く、奥まで指を進める。開発されていない身体は快感を思ったように拾えずに、もどかしそうに揺れている。
「ゆび、ッ、増やして……」
開かれた腿の間を、二本の指がもう一度こじ開ける。もう片方の手でこわばる裸を胸元から腰まで撫でさすると、小さな手が追いかけてきて掴んだ。そのまま自分の口元へ持って行くと、ジャガーの手に熱い息が絡む。目の前がぐらつくような思いがして、どうにかこの少年を気持ちよくさせてやりたいとジャガーは思った。
一番、ピヨ彦が気持ちいいところ。指をゆっくりと曲げ、内壁を揺らす。
「あっ…………」
ピヨ彦が一瞬目を見開く。普段より幾分か小さく膨らんでいる前立腺を見つけて指を揺すると、あ、あ、と声が小刻みに口から零れ、首をもたげた陰茎が震える。
鼠径部に顔を埋めて、目と鼻の先の距離で陰茎を眺める。亀頭も露出していない先端から、前立腺を揺するたびに先走りが糸を引きながら落ちていった。
指は絡ませたまま、ピヨ彦の口元から腰のそばまで手を動かす。体勢を整えると、ジャガーはピヨ彦の陰茎を一気に全て口に頬張った。
「あっ…!?♡ だめ、だめ、え、ジャガーさん、ッ♡」
ぎゅう、と握られる手を握り返しながら、挿れた指は前立腺を揺するのも止めない。小さな陰茎はジャガーの口の中で跳ねながら、じわじわとしょっぱい先走りを流し続けている。根本に口を押し付けながら、舌で陰嚢を拾い上げ、全部まとめて口の中で転がしてやるとピヨ彦の腰がびくびくと震える。
「やだ、やだッ、あっ♡ やっ、あ、ぁっ! いくッ、いくッ、ぅ、、♡」
舌の動きも止めないまま、前立腺を指で押し込む。白く柔らかい脚がジャガーの頭を挟み込んでピンと伸びて震えている。口に溜まった唾液を使ってじゅるじゅるとすすると、腿はひと際大きく震えた後、びく、びく、と規則的に痙攣した。ちゅぽ、と音を立ててジャガーが口を離すと、精通前だったらしいピヨ彦の陰茎は射精もできずに時折ただピクピクと跳ねている。
「……これさ、出ないんだったら、もしかして何回でもイけちゃうやつかな?」
ぐったりとしたピヨ彦がまだ息を整えている中、突っ込んだままの指を再度揺すると腹筋がびくつく。その後、荒い息はすぐにすすり泣くような声に変わって、ジャガーはふっと我に戻った。
「ごめん、ごめん、ピヨ彦、大丈夫か? しんどいか?」
「うっ、……ぐッ、う、」
涙を湛えた目を見て、ジャガーは指を引き抜こうとしたが叶わなかった。ぎゅっと、ピヨ彦の後孔が締まってそれを許さなかったのだった。
「このまま、ずっと、僕だけい、イくの、やだ」
「苦しい?」
頭を撫でようとしたジャガーの手を逃さないようにピヨ彦が握り直す。
「…………さみしい……」
「えっ、」
「……指、抜かない、で、……もっと拡げて、ジャガーさんの、おちんちん、挿れて……」

胡座をかいたジャガーの下腹部で、ピヨ彦の頭がゆらゆらと揺れる。後ろからの刺激で時折熱い息を漏らしながら、小さな舌がジャガーの先端をチロチロと舐める。普段より柔らかい髪を撫でてやると、じゅう、と音を立ててジャガーの先走りを吸い上げた。
身体の向こうでは三本の指がぬちぬちと音を立ててピヨ彦の中を這い回っている。たまに擽るようにしこりを撫でながら、それでも「拡げること」を目的にジャガーの手は動いた。
「ピヨ彦、挿れていい?」
「うん……はやく……」
指をゆっくりと抜く。仰向けになったピヨ彦を見下ろした後、両手で臀を割り開き、親指でぐっと後孔を拡げる。長い時間をかけて慣らされたそこはローションでてらてらと光り、縁がぷっくりと桃色に膨らんでいる。ピヨ彦の顔に視線を移すと、口の形だけで「はやく」ともう一度訴えてきた。
自らの下腹に視線をやる。赤黒く隆起した陰茎がやけに凶悪なもののように思えた。白い肌の下で波打っている肋骨、滑らかに続く腹や臍を撫でながら後孔に先端を添えると、むずがるようにピヨ彦の腰が揺れる。
丸い頬に口づけながら、ゆっくりと腰を進めていく。締め付けがきつい。
「あっ、、ぁっ……」
「……大丈夫か、痛かったら言えよ」
ぎゅっと目を瞑るピヨ彦に声をかけると、大きくかぶりを振った。
「いたく、ない……おっきい……」
「お前なぁ……」
「ふふ……、っ……あ”っ……」
内臓を押し上げられる感覚でピヨ彦が鳴く。ジャガーの陰茎は根本を数センチ残して、ピヨ彦の最奥を突いた。そこからゆっくりと陰茎を引き抜き、抽挿を始める。
「……ピヨ彦ん中、きもちい……ちっちゃい身体で、俺のちんこぎゅうってしてくる……」
「ぅあっ、……あっ、あっ……あ、っ、じゃがー、さん、っ、」
壊さないようにゆっくりと抽挿してやりたい気持ちとは裏腹に、快感を求めて腰がひくつくように動く。辛そうな喘ぎ声を溢すピヨ彦に申し訳なくなって顔に目を移すと、どろどろに溶けた視線がジャガーを見ていた。
開発されていない未発達の身体で、頭だけがジャガーとの性交を求めていた。そのアンバランスさがどうにもグロテスクで、淫靡で、腰を振っている自分も含めてぶっ壊してやりたいような気持ちになった。
ピヨ彦の尻を抱え直す。陰茎の先端がピヨ彦の腹を擦るように腰を進める。
「あっ……♡」
ぐずぐずの内壁がジャガーの陰茎にしゃぶりつく。動かしたくなる気持ちを抑えて、ピヨ彦の陰茎を優しく握る。
「あっ、だめ、やだっ! ちんちん触っちゃやだ、出ないっ、出ないからっ♡」
先程まで横に投げ出していた手で抵抗してくるが、振り払う。邪魔にもならない。
ゆっくりと抽挿するのは諦めて、ピヨ彦の中のイイところをぐりぐりと何回も突く。手の中の陰茎を扱いてやる。勃起していくのと比例して、前立腺がこりこりと主張を強くする。
ピヨ彦は自分の身体に興奮しているジャガーを見て満足していたはずだったのに、今は小さい身体に遠慮なく与えられる快楽に身を捩らせている。射精で解放できないことがわかっているのに、快感が腰のあたりに溜まっていく。
「あ”っ!♡ もうダメっ、ダメっ! あっ、あっ……」
びく、と身体が反る。ピヨ彦の陰茎の先端から、ちょろちょろと透明な潮が吹き出す。
「あーーっ……はぁっ、あっ、あっ♡」
全身から力が抜けたピヨ彦に覆い被さって名前を呼ぶ。返事をするように腕が背中に回った。
「なあ、オレ、ピヨ彦のことめちゃくちゃにしたい。いいか?」
ジャガーの背中に回した腕に力を込める。
「……いいよ、壊して」
反らした背中と床の隙間に、ジャガーの腕が入ってくる。ぎゅっと抱きしめ合うと、少し落ち着くような心地がした。しかし、それはほんの少しの間でしかなかった。
ジャガーは少し体を離すと、ピヨ彦の太腿を持ち上げて身体を折り畳んだ。そのままピヨ彦の足を肩に乗せて、それごと身体を抱え込む。上から穿つように突かれるのも、ピヨ彦は嫌いではなかった。衝撃の予感に息を整えていると、ピヨ彦の身体が宙に浮いた。
ジャガーがピヨ彦を抱えたまま上体を起こした。
「アッ、⁉︎」
ぐぽ、と音がするような挿入感とともに、ピヨ彦がのけぞった。先程まで入っていなかったジャガーの陰茎「全て」が、ピヨ彦の最奥、結腸への弁を突き抜ける。ジャガーはピンと伸びる身体と脚をまとめて抱きとめてやった。いくつか痙攣するように身体が跳ねた後、ピヨ彦の手足からは力が抜け、伏せた目から涙が零れ落ちる。抱えた身体をゆっくり上下に揺さぶると喃語が零れ落ちてくる。
「やだ、あっ、ねえ、やだ、ぁ、じゃがーさん、」
「ピヨ彦、ここ、痛い?」
「は、い、入っちゃ、いけないとこ、はいって、る、うぁ、あ、ぁ、」
「普段だと届かないもんな、ここ……頑張って痛くないようにするから……」
ゆっくりと、小さく揺さぶり続けるとピヨ彦の結腸や入り口の括約筋が初めよりも緩んでいく。ひくひくと震えながら、うねる腸壁がジャガーの陰茎をしゃぶる。
「あ、ぁ、あん、あ、あ、あッ、♡」
「ピヨ彦、こっち見て」
涙で濡れた目がこちらを向く。ほんの少し突き出た唇も吐息と唾液でうっすら光っていた。時折息を詰まらせながら、懸命に呼吸をしている。
「大丈夫か? 痛い?」
「なんか、なんか、へん……、んっ♡ ずっと、、ずっと、イ、ってる」
「かわいーよ、ピヨ彦……」
垂れる唾液を舐めとる間も、ピヨ彦は未知の快感に喘いでいた。ジャガーはピヨ彦を少し抱え直すと、上下に揺さぶり始めた。締め付けが緩くなったそこは、ぐぽぐぽと淫らな音を立てる。
「うあぁっ!♡ あんっ♡ あっ♡ あっ……」
喘ぎ続けるピヨ彦の唇を眺める。昔は笛を吹いていたと聞いたことがあるが、このくらいの時だろうか。
「……っ、ピヨ彦、チューしよう、ほら」
「っは、…………っん、んむ、ぅ〜っ……♡」
薄く柔らかい唇を舐めると、ピヨ彦が吸い付いてくる。本当の雛鳥のようだと思った。
「は、もう、やばい……っ、イく……ピヨ彦……っ♡」
「ん、出してっ……ナカ……っ」
二、三回、勢いよくピストンをした後、ピヨ彦の小さい尻に腰を押し付けると、結腸の弁がカリ首を柔らかく締め付けた。ずっと我慢していた分なのか、どくどくと長い射精が続く。うっすらと汗をかいた小さなピヨ彦の頭やじっとりと濡れた背中を掻き抱く。
床に下ろして陰茎を引き抜くと、あっ、と声を溢してピヨ彦の身体がぶるりと震えた。薄目を開けてくったりとしている姿を見て、何度目かわからないが「可愛い」と思った。しかし、目に焼き付けておきたい気持ちと一緒に「普段のピヨ彦に戻ってくれないかな」と心から思った。

やっぱり一番可愛いのは、いつも生活を共にしている青年のピヨ彦だ。もちろん小さくても可愛いけれど、自分の無茶振りに耐えられる身体であってほしい。勝手な願いだとは思いながらも、早く戻ってきてくれと考えながら、ピヨ彦の身体を拭いてやるためのタオルを出すために風呂場に足を進める。
でも、普段と違うセックスができたのは良かった。ピヨ彦の奥は、何か道具でも使っていじってやろう。そう思ったその時、居間の方で声がした。
なぜか取りにくい場所に置いてあるタオルを一枚引っ掴んで、居間に戻る。そこには元の姿に戻ったピヨ彦がいた。
「ピヨ彦ぉ!!」
駆け寄ってピヨ彦の胸に飛び込む。
「良かった……やっぱり夢だったんだな! 戻ってくれて良かった、やっぱりこれでこそピヨ彦だ!」
「……で、なんで今度はジャガーさんがちっちゃくなってんの」